トップページ > 私募債のメリット・デメリット
少人数私募債は、資金調達の手段として多くのメリットがありますし、いくつかのデメリットもあります。
返済計画に余裕が持てる
社債発行会社にとっては、毎月元金を返済する必要がないメリットがあります。社債は、社債を発行した日から4〜5年後に一定の期日を設けて、その期日に債券をもっている会社や個人に対して返済しますので、返済計画に余裕が持てます。
一方、社債発行会社は、社債を持っている人に対して毎年利息を支払いますので、社債権者にとって預金よりも有利な金融商品ともいえます。
比較的簡単に発行できる
少人数私募債は、公募債に比べて簡易な手続きで発行できます。
たとえば、通常の社債の発行の場合、銀行や信託銀行などの社債管理者と社債管理委託契約を締結し、社債の管理を委託しなければなりませんし、有価証券届出書や報告書の提出が必要となっていますが、少人数私募債では不要です。
協力が得やすい
少人数私募債は50名未満の特定の人に引き受けてもらう社債ですので、会社と関わりがある人=縁故者に引き受けてもらうことになります。従って、金融機関とは異なり協力を得やすくなります。
社債管理会社不要
社債を発行するには、条件として社債管理会社を設置する必要があり、運営コストがかかります。これに対し少人数私募債の場合は、自社で運営管理を行いますから、コストは一切かかりません。
ただし、少人数私募債は社債であることに変わりありませんから、自社で管理する必要があります。社債購入者には利息を支払う必要があり、元金の償還期日がきたら返済する必要もあります。社債管理会社が無いからといって、いい加減でよいということではありませんので慎重な管理が必要です。
また新会社法上では、社債券は発行しないことが前提となっています。発行体は社債権者に対し、勧誘中に社債券不発行の旨を告知するか、発行要項に社債券不発行の旨を記載し交付しておけば支障ありません。
税務上でも有利
社債利息は、株式配当金と異なり損金扱いになりますので、少人数私募債の支払利息も税務上経費扱いになります。少人数私募債の購入者は20%の源泉税が引かれるだけですので、個人の場合は確定申告も不要となっています。
通常、社長個人の会社への貸付金の受取利息は雑所得扱いとなり、他の所得と合算され最高50%が課税されます。しかし、少人数私募債なら、ほかの収入状況に関わらず、一律20%の源泉分離課税となるため、社債購入者が高額所得者や資産家の場合、税務上有利な制度といえます。
自治体の補助
自治体によっては、補助金の支給を受けることが出来ます。社債利息の一部に相当する金額が補助金として支給されることがあります。
利率や償還期限の自由
社債の発行によって調達した資金は、その全額を自己資本のように自由に利用することができます。また、利率や償還期限なども自由に決められます。
このように、メリットだけが目立つ少人数私募債ですが、
その募集・発行に際しては、以下の点に留意する必要があります。
- 社債の募集は縁故者に行うことが原則のため、必要な資金が調達できない場合があります。
- 少人数私募債は、担保や保証人がいないため、信用面のリスクが高く、引受手がみつけにくい場合があります。明確な事業計画書の策定・作成、定期的な報告が不可欠となります。
- 一括償還時に向けて償還資金を毎年積み立てておく等の自己管理が必要となります。
- 引き受けた私募債を他人に譲渡する場合には、一定の制約があります。会社の承認を得て、一括して人に譲渡する場合のみ有効となります。